パスカバーについて復習していきましょう!
Cover0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、Pattern Matchについて書いていきます。
NFLをもっと楽しみたい人に向けて、なるべく専門用語は使わずに噛み砕いて書いていきたいと思います。
まず最初に知っておいてもらいたいことは、試合を見ていて「この守備はカバー〇〇」だとかある程度見分けはつくようになれると思いますが、一瞬で判断するののには時間がかかります。分類が微妙なケースも多々あります。プロのQBでさえリプレイ映像を見ながら「多分Cover〇〇だと思う」と言うくらいなので、Twitterで明言している人でも勘違いしているパターンもあります。現地解説が間違っていると指摘されることもあるくらいです。なので分からないからと言って落ち込む必要はないです。私も完全には分かりませんし、まだまだ未知の世界がいっぱいです。一緒に勉強していきましょう。
最終目標としては、現地解説が「Cover〇〇」と言った時になんとなく理解できる、守備がしたかったことを想像できる、といった知識を得ることです。これらの知識を身につけるだけでNFL観戦がより楽しくなると思います。
様々な情報源から得た情報を自分なりに解釈してまとめていますので、全て事細かくは書いていません。
より詳細が知りたい場合は一番下にある参照リンクや本などを参照ください。
参照の英語の本に関してですが、もちろんここに全ては書いていません。パスカバーに興味がある方は購入をおすすめします。図解に加えて細かく守備の役割分担まで記載されており、それぞれのパスカバーの簡単な概要がコメントとして追記されています。
Contents
・Cover0
セイフティー(S)が1人もいない状況です。
WR5人に対して守備の全員マンツーマン(1対1)でカバーし、残りの守備6人がパスラッシュをします。
これをZero Blitz(ゼロブリッツ)と言います。
後ろを守る人がいないのでゼロです。またの名をCover0と言います。
パスのシチュエーションでQBにプレッシャーをかけたい時に使うのをよく見ます。
ただ後ろを守る人がいないため、奥に走り抜けられるリスクが高いことも覚えておいてください。
ややこしいですが、Nick Saban用語ではCover0は奥に1人のセイフティーが守っていて、残りはマンカバーのものです。

・Cover1
Sが1人後ろで中央を守っています。
他の守備はマンツーマンで守っています。
前方に人数が多いためランには強いです。パスにおいては、DB(ディフェンスバック)がWRよりも優秀であるなら最適です。ただし、DBが負けた時に後ろに1人しかいないのでTDにつながる可能性も高く、リスクが高い守備でもあります。
CBはWRをできる限り中央へ誘い込むようにWRの外肩にポジションを取ります。これによって中央にいるSのサポートを受けることができるからです。

ただしWRがサイドラインに近い場所にセットしている場合は、WRの内肩にCBはセットし、サイドラインに押し出すように守備をします。これによってWRが走れるルートはFadeかComebackくらいになります。

Cover1ではSの1人がRobber(強盗)の動きもできます。
その際、スナップ前はCover2に見せておいて実はSが上がってくることによってWRのクロスルート(中央を横切るコース)のようなコースの対応ができるようになります。うまくいけばボールを奪うことができるでしょう。

参考動画をご覧ください。
このRobberになる守備の人によって呼び方が違います。
SSがRobberになるときは「Cover1 Robber」です。

FSがRobberになるときは「Cover1 Lurk」です。

LBがRobberになるときは「Cover1 Thief」です。LBがこの中央を守るときには「Rat」とか呼ばれたりもします。

他にも特定の選手をダブルカバーする場合もあり、例えば88番をダブルカバーしたい場合は「1 double 88」といったコール名になっています。
Cover1 Alert
・1 alert (cover1)
— .list🏈🖖 (@minimarulist) November 15, 2021
Split Zoneなどの動きに対応するパスカバー
H-Back/TEがスナップ後に逆サイドに移動するようなプレーで、守備が人数合わせをするためにする動きがあるカバー。
ランプレーでも人数負けしなくなるし、モーションした選手がパスルートに出ても対応することが可能。 pic.twitter.com/cKZqEarueN
・Cover2
Sが後ろを2人で守ります。
後ろにSを2人置くことによってラン守備が弱くなります。ランを止めるためにCover2は使わないとUrban(強豪校であるOhio Stateの元ヘッドコーチ)が言っています。一方でパスに強い守備です。
Cover2 Man
Cover2のマンツーマンでは、Cover1と同様にCBはWRを中央へ寄せる守り方をすることで、Sへの負担を減らすことができます。同様にサイドラインが近ければサイドラインを味方につけます。このCover2 ManのことをAlabama HCのNick SabanはCover5とも言っています。5人がマンツーマンをしているので5の数字を使っているのでしょう。

Tampa2
Tampa2と呼ばれるCover2の守り方では、中央のLB(Mike)がSの間の中央を守ります。
このMikeにはWRに負けない機動力が求められます。(ここでミスマッチが起きることが多々!)

Red2
Redzone(Goallineまで残り20ヤード内)では「Red2」という守り方もあります。
CBも後ろに下がって守ります。

Green2
3rdダウンロングといった状況で前方に余裕がある場合は「Green2」という守り方があります。
全体的に後ろに下がって、No Cover Zone(誰もこの場所を守らない)を設け、1stダウンを更新されないようにWRをできる限り守備の手前に置いておきます。背後に走り抜けられるリスクを排除する守り方ですね。

Invert Tampa2
次にSが前に上がってくるInvert Tampa2を紹介します。
OLB(外側のラインバッカー)はFlat(浅い外)を担当。MLB(ミドルラインバッカー=Mike)は中央の奥を守り、2Deep(奥)はCBが担当。MLBの役割はTampa2と同じですが、他のD#選手はそれぞれ守る場所が変わります。QBはスナップ前のSの配置から普通のCover2と思っていたら実はSが前に上がってくることに気がつかずにミスをしてしまう可能性があります。

このようなパスパターンの際はD#の守りはこんな感じになります。

・Cover3
後ろを3人で守ります。
前方に守備が多いので、こちらもランに強いです。パス守備においても奥は3人いるので強いのですが、中央にその分人が少なくなるので外側の浅い位置(Flat)が弱くなってしまいます。
Cover3Sky
「Sky」ではCBが後ろを守ります。
下の画像ではStrong Safety(SS=ストロングサイドのセイフティー)がCBが後ろに下がった後の右下(Curl/Flat)を守っています。
このストロングサイドのCurl/Flatを誰が守るのかでSky、Cloud、Buzzとかが決まってくるチームが多いのかと思います。
この場合だとセイフティーが守っているので「S」kyとなります
後ろに人を使っている分、前の守りが4人と少ないです。

Cover3Buzz
「Buzz」ではスナップ前はCover2のようですが、SSがHookと呼ばれるエリアに上がってきてCover3になります。
QBを困惑させるのが目的です。SSが中央を走るWRに対応することができます。
うまくいけばQBがSSに気がつかずに投げてしまい、インターセプトもありえます。
ここではセイフティーでもCBでもない守備、Line「b」ackerかNickel「b」ackがCurl/Flatを守るので「B」uzzになります。

Cover3Cloud
「Cloud」では両Sが後ろを守り、片側(ストロングサイド)のCBが浅い位置を守ります。
これによって一番厄介なWRをスナップ直後に手を使って邪魔(JamやBumpといったテクニック)をすることができ、QBとWRの息の合ったパスのタイミングを崩すことができます。
他にもCBのランに対するサポートが早くなるなどメリットもありますが、今回はパスに関する話なので割愛します。
ここではCBがCurl/Flatを守っているので「C」loudになります。

Cora Read It
Nick Saban用語の3Cloud
Cora Read It、面白い
— .list🏈🖖 (@minimarulist) April 28, 2021
CoraはAlabama大HC Nick Saban用語の3Cloud(ストロングサイドにCloud=カバー3でストロングサイドのCBが浅い位置を守る)
Cora Read Itでは、Cover2から始まり、レシーバーのルートによってCover3 Cloudになるようだ。 https://t.co/LVN1LDW6GZ
Cover 3 Lock
Cover 3で片方のCBがWRとマンツーマンのものをCover 3 Lockと言います。動画の最初のプレー。
・Cover4
後ろを4人で守ります。そのため前方の守りが3人と薄くなってしまいます。
Quarters(4分の1の複数形)とも言われています。
Sは目印となる選手の動きを見て動きが変わります。目印となる選手がランブロックの動きをしていればタックラーとして前に上がるので、前に人数が多くなりラン守備に強くなります。しかしPA(プレイアクション=ランフェイク)で前にSが引っかかってしまうとCBはWRと1対1になってしまうため、かなりリスクが高い守備でもあると言われています。
ここからはパスの守る役割について書いていきます。CBとSは#1と#2WRの奥へのパスコースを守ります。(サイドライン側から順番に#1、#2と読んでいくのが一般的です)
基本的な守りは以下画像の感じです。

参考動画をご覧ください。
状況別に見ていきましょう。
画像左の#1と#2が奥へ来た場合。CBとSはこのようにカバーします。

#2が奥へ来ない場合、SはCBと一緒に#1をダブルカバーします。

ここからはWRが片側に3人いる場合の守りについて書いていきます。
Lock/Solo
WRが1人の方のCBはマンツーマンで守る、「Lock/Solo」という守り方があります。
この「Lock/Solo」はCover3、Cover7でもある守り方です。

Box
そして3人のWRが固まっている場合(Bunch)の守り方は「Box」と呼ばれる守り方をします。
1st in、2nd in、1st out、2nd outと最初に中に入ってくる選手をカバーする選手、2番目に中に入ってくる選手をカバーする選手といった形に役割分担してカバーします。


Cut、Push
Cover3と間違えやすいのが「Cut」コールと「Push」コールです。
WRが奥に走らないコースの時に「Cut」コールをすることでSが前に上がり、浅いルートを走るこのWRの邪魔をします。上手くいけばインターセプトもありえます。

TEしか片側サイドにいない場合は「Push」コールをすることでSをTEがいないサイドに動かし、浅いルートや中央のルートをケアさせます。


・Cover5
Cover2 ManのことをCover5とAlabama大HCのSabanが呼んでいます。
これまた混乱するかもしれませんが、Baylor大では3人だけがラッシュするCover4のことをCover5と呼んでいます。
5 Cougar
マンツーマンですが、#2レシーバーがアウトルートを走る場合にはCBに受け渡すコールを5Cougarと言います(画像左)このカバーの仕方は「2-trap」とも言われています。

・Stack,Bunchチェック
ここからはWR同士が近くにセットする場合の対応について書いていきます。
Tango
「Tango」は2人のWRに対して3人で守るカバーです。「Triangle」とも言われています。中に最初に入ってきた人とマンツーマンになる人と、外に最初に入ってきた人とマンツーマンをする人がいます。そこにSSも加わって対応します。上記の5Cougarと似ていますね。


Bingo
「Bingo」は上記で出てきた「Box」とほぼ同じですが#1がずっと一番外に位置するルートを取る時はちょっと守り方が違ってきます。
まずはBoxのおさらいをしておきましょう。Boxでは3人のWRに対して4人で順番に出てきたWRを守ります。「最初に中に入ってきた人とマンツーマン、次に中に入ってきた人とマンツーマン」といった感じで役割分担されています。

しかしこのルールではSailとかFlood,3 levelsと呼ばれる縦に3人で守備にプレッシャーをかけるパスコンセプトに負けてしまいます。
なぜかというと、外へのルートを守るのはこの画像のAとCだけで、SSは中に入ってくる入ってくるルートを守っているからです。

そこでBingoが生まれました。
もし#1が#1のまま(つまり#1が一番外のまま)なら以下のルールになります。
CB:#1が#1のままなら#1とマンツーマン。ただし#2も縦のルートを走って外へルートを取るなら#2をカバーしてSSへ「Push」コール
SS:#1が#1のままならDeep 1/2をカバー。CBの「Push」コールで#1をカバー

Boxとの一番大きな違いは、#1が#1のままならSSがDeep 1/2をカバーするという動きでしょう。これによって奥への対応がしっかりとできます。
Lock&Level
「Lock&Level」は2人WRでも3人WRでも使えます。Lockは「マンツーマン」を意味し、Levelは守備同士の「段差」を意味しています。WR同士が近いセットをしている時にはPick/Rubと言われる、合法的に守備同士をぶつけるルートを狙ってくることがあります。それを回避するために段差を設けています。

・Cover6
Quarter-Quarter-Halfとも呼ばれており、片側のCBが後ろの4分の1、Sが4分の1、反対サイドのSが2分の1を守ります。
言い換えると、片側がCover2で、もう一方がCover4です。
Cover4のCBは#1のロングパスを警戒しつつ、#1が奥に来なければ#2のロングパスをチェックします。
Cover4側のSは#1と#2をカバー。(#2#3を見る守りもある)
#2がロングパスならカバーし、#2がショートパスで、#1がロングパスなら#1をCBと一緒にダブルカバーします。
またCover4側のSはキーとなる選手がランブロックの動きをすればすぐにランサポートに上がってくるので、ランにも強いサイドになります。
これは逆に裏を狙われやすいリスクもありますが。
ただしこのカバー名を実況解説からあまり聞いた記憶が私は無いので概念だけ知っておいてもらうと良いと思います。
多分、左右でCoverのタイプが違うSplit-field coverageの一種(あとで説明)なので説明が面倒なのが原因かもしれません。ポイントはStrong Side(画像の場合右)のCBが#1WRに浅い位置で邪魔することができる点です。これはCover3 Cloudと同じですね。


また⬇︎の動画のように、Trips(3人WRが片方のサイドにセット)に使われることも多いカバーです。
参考動画をご覧ください。
どちらの動画も#3、つまり外側から3人目の選手にパスが投げられていますね。
どちらともCover4サイドのSが#1と#2をチェックしているので、#3はNickelやLBが対応することになります。ここでミスマッチになることがあります。
ただし、別にCover4サイドのSが#2と#3をチェックしてもいいのです。
Alabama大HC Nick Saban用語だと、Cover6はセイフティーがウィークサイドに上がるマンマッチのCover3になります。
・Cover7
こちらも実況解説から聞いたことがないので、概念だけ覚えておいてください。
構造としてはCover2、4、6と同じ、S2人が奥に位置する「Cover2ルック」です。そして左右で独立した守り方ができます。そのため「Split-field coverage」と言われています。

カバーの種類分けすると主に4つになります。
①Triangle coverage(2人のWRを3人で守るカバー)
②Backside coverage(3×1といった単機サイドのWRをCBとFSで守るカバー)
③Box coverage(WR3人に対して4人で守るカバー)
④Full-Field coverage(WR3人に対して、反対サイドのCBだけが除外されたカバー)
いまから説明していく上で覚えておいて欲しい単語を共有しておきます。
CBから一つ中のポジションを「Apex」と呼びます。これはNickelのこともあればOLB、Sの場合もあります。
そしてさらにもう一つ中に入った人を「Hook」と呼びます。Hookは1人のこともあれば、Sが前に上がってきて2人になることもあります。


Meg(Triangle)
Man Everywhere he Goes=Meg
特徴はCBがどこまでも#1についていくことです。そのためCBに高い能力が求められます。#1が中へ走るパスカバーが厳しいならば、MESを使います。


MES(Triangle)
Man Except Shallow=Mes
MESではCBが#1の中へ走るパスをカバーしなくても良いカバーです。他のルートは全てマンツーマンです。ただし、その分ApexとHookに仕事が増えることになります。


Mod(Triangle)
またの名をQuartersです。カバー4と聞けばだいたいこれがベースではないでしょうか。
CBの仕事がまた一つ減ります。浅い位置で止まるルートをCBはケアせずに「Smash」と叫んでApexに守らせます。中へ入っていってもApexが担当です。つまりCBが基本的に奥を守ることになります。
コーチによって色が出るのが選手を配置する場所です。Slantが怖ければApexを中側に配置させ、Quick outが怖いのならば外側に配置させます。どちらにせよ、CBは奥を守っているので外側の守りが弱い状態にある。そこで「2-read」の出番です。


2-Read
別名Clamp、Blue、Cloud、Palms
#2が5ヤード以内で外へ走る時にCBが対応するカバーです。
左は#2がQuick Outルートを走るのでCBがカバーします。
右側は#2のQuick OutがないのでそのままCover4で守ります。

左のSmashコンセプトの際に、CBが浅い位置をカバーすると、#2にパスが通りやすくなってしまいます。そこで基本的には「Smash」コールをします。CBが「Smash」とBに伝えることで#1をBにカバーしてもらいます。
続いて中央の「Push」コールはRBがすぐに外へ走って行った時に使用します。「Push」コールをすることで右サイドのBにRBをカバーしれもらいます。
最後に右側の「Under」コール。これは#1がすぐに中へルートを取った時に使用し、中の選手へ受け渡します。(ここら辺のやりとりはModと同じです)

#2のQuick Outが多い場合や、そのルートが来ると思った時にディフェンスコーディネーターは使用するようです。ただしデメリットも。
①CBが#2の動きをリードしている間に、#1にフルスピードで縦を走られた際に負けるリスクがある
②RPO時のランフィットでApex(CBの一つ中の選手)がラン対応をするのでリスクが高い
*2-Trap=Gold=Kathyと言う人もいますが、他の守備の動きや見るWRの順番が微妙に違ったりします。 同じにする人も多いかもしれないです。 米国コーチのTwitterを見てると同じにしてる人もいます。
Bracket
Nが外 Sが中から#2をダブルカバーするパスカバー。ランサポートは内側にいるSが担当することに。

Cone
CBとSのダブルカバーのことを「Cone」と言います。

ここからはTrips(WRが片側に3人)フォーメーション用のCover7の対応を書いていきます。
Stubbie
CBがマンツーマンであることが大きな特徴です。*、$、SSの3人で2人をカバーします。
*と$は#2と#3が交差する場合は受け渡します。
右サイドのCBの「Cone」「Meg」「Cut」「Dog」「Tuff」といった守りができます。

こちらが守り方の例です。CBは必ずマンツーマン。そして#2と#3が交差するルートの時には*と$が受け渡しをしています。

Stump
Poach
3人サイドの逆サイドにいるセイフティー(画像ではBS)が、3人サイドにヘルプにくる動き、カバーをPoachと言う。

Stout
Clip
Seahawk
Buster
・Buster
— .list🏈🖖 (@minimarulist) November 12, 2021
ディープ、ミドル、ショートの縦3層にWRを送り込むコンセプトのパス用のカバー
カバー2ゾーンだとミドルに走り込むWRを上手くカバーできなくなる(画像左)
そこでCBに「#1のマンツーだが#2 WRがディープアウトなら#2をカバー」というルールを与えるカバーに変更するルールで対応(画像右) pic.twitter.com/nb5csBYOts
・Cover3 Pattern Match
さて、、、このパスカバー、Cover1にもなればCover3にもなるのです。
これが難しいので細かく説明していきます。
そもそもCover3の弱点は何だと思いますか?
それは後ろを3人で守っている中で、WR4人に後ろを走られることです。
Cover3をする理由としては、後ろを3人にする代わりに前に4人置き、ランを止める人数を確保するためです。画像を見ていただけるとわかるように中央にLBを2人にSを1人置けています。前寄りの守備なんですよね。そんななか後ろを4人で狙われると1人がオープンになってしまいます。

そこで編み出されたのがPattern-Matchです。ゾーンのようで、マンカバーにもなる変芸自在のパスカバーです。
簡単にルールを説明しておきます。
基本CBは#1(一番大外)WRをカバーします。
最初はCover2のセットから始まります。そしてオフェンスのウィークサイドを設定したら、ウィークサイド側のSが前に上がりWRに付きます。
この際に右Sが上がるならRipコール。左Sが前に上がるならLizコールを出します。(という説明のものもあるが、Rip/Lizセイフティーが左右どちらに入るのかのコールというものも)
RightとLeftの頭文字から来ています。
そしてNickel(=3人目のCB)は必ずパスのStrongサイドにセットします。
下の画像では、仮にTEのサイドをストロングサイドとしてみます。

さあこの状況で4人が奥に走るコースのパスはどのようにカバーするのか。
その場合は付いている守備がみなマンカバーになり、結果Cover1のようになります。

ではCover3になる状況はどういった状況なのでしょうか。
それはWRの1人が浅いルートを走った時です。それによって3人しか奥に走ることはなくなるのでCover3になります。
WRが浅い位置を走った際に、そのWRに付いている守備の選手が「Under」コールを出します。
例を見ていきましょう。
Ripコールで上がった、#2についているSが、#2が浅いルートを走るのを見て「Under」コールを出します。これでこのSは#2を中央にいる2人のLBの一番外側のLBに#2を託します。Sは次のWRを探しつつゾーンで守ります。

次のパスパターン(左のパスパターンはSmashコンセプト)で、CBがUnderコールをしない場合と、した場合も見てみましょう。
CBによるUnderコール無し
Cover1のようになります。

Underコール有り
こん場合はCBは後ろに下がり次のWRをチェックします。

このように、どういった状況でUnderコールを出すか出さないかの細かいルールはチームによって違うと思います。ただここで理解して欲しいことは概念、システムです。簡潔に言うとすれば、『〇〇ヤード以上WRが奥に走るならマンカバーになり、〇〇ヤード前を走るルートなら「Under」コールでゾーンになる』と考えると理解しやすいと思います。
トリプスチェック
続いてWRが片側に3人いる場合のカバーを見ていきます。Skinny、Mable、Skateがあります。この3つ、全てのカバーでは、WRが1人サイドのCBは完全にマンツーマンになります。
Skinny
SkinnyカバレージではFSは#1のクロスルートと#2のパスカバーします。
SSはCover3、WRが3人の方のCBもCover3、Nickelは#2の縦へのパスとOut系のパスをカバーします。中央にいるLBはWR3人の方へ移動し、それぞれゾーンでパスカバーします。
このカバーでは3人WRがいるサイドのFlat(左下の領域)はカバーする人がいません。そこを狙われ始めた際にMableやSkateコールが入ります。まずはSkinnyカバレージのカバーの様子です。



上記のようにFlatをそもそもカバーしない理由としては、一番奥のWRのこの位置を狙うこと自体が少ないと思われているからです。距離もありますし。
3 Buzz Mable
Flatを狙われることが多くなった場合にMableカバーレージをします。Skinnyとの違いはFSをCover3の中央に置き、SSをBuzz(前に上がってくる)させる点です。それによってNickelがFlatを守れます。

ただしこのカバーでは中央のLBに負荷がかかります。#3が奥へ走るルートをとる場合はこのLBがカバーしなければいけないので、ミスマッチにつながる可能性があります。

Skate
S二人のローテーションが変わるのがSkateです。SSがMableでは上がってきてFSが下がっていましたが、SkateではSSが下がり、FSが前に上がってきます。FSは最初に入って来たCrosser、RBのSwingなどをカバーします。MableではSSが前に入ることでLB達は3人サイドに大きくスライドしなくてすみましたが、SkateではLB達は2人サイドにスライドすることになります。

・Cover8
コーチによってかなり違うのがCover8
- 両サイドがクオーターカバレッジ(Cover4的な)
- ストロングサイドCover4、ウィークがCover2
- ゾーンマッチ
・Cover9
Cover1のようなカバーでそう呼ぶものもあれば、ファイアーゾーンのことをCover9とよぶコーチもいる。
以上…
ご質問、間違いのご指摘も大歓迎です。
私もまだまだ知らないことが多いので、今後もパスカバーで学んだことはこのページに追記し、更新していきたいと思います。
Twitterではアメフトのマイナー情報を呟いていますのでこちらも覗いてみてください。
参照(今後記載予定も含む)
https://bleacherreport.com/articles/2032934-nfl-101-introducing-the-basics-of-cover-1
https://bleacherreport.com/articles/2039934-nfl-101-introducing-the-basics-of-cover-2
https://bleacherreport.com/articles/2047445-nfl-101-introducing-the-basics-of-cover-3
https://bleacherreport.com/articles/2094989-nfl-101-introducing-the-basics-of-cover-4
http://ravensall-22.blogspot.com/2014/06/playbook-cover-6.html
https://blogs.usafootball.com/blog/5615/how-to-understand-nick-saban-s-pattern-match-cover-3-defense
是非パターンマッチについて取り上げていただきたいです!
読んでいただき、ありがとうございます。
了解です!徐々に更新していきます!
質問です
カバー5の中のアラバマHCのツイートにあるミラーというのは、どの様な動きを指すのでしょうか?
返信遅れて申し訳ありません。
ここでのMirrorはLBがQBがいく先についていくことを意味しています。
ポケットの外へ走るなら外へついていきます。