メチャクチャ面白かった。
そもそも罪という考えは人間が生み出したものであって、何が罪で、何が罪でないのかというのも、時代や国によって違うものである。それは絶対的な正義というものも存在しないのである。
このドラマでは、社会の考える善悪の大きなシフトを目にすることになるが、特に面白かったのは新興宗教の発展と衰退である。マイノリティーがマジョリティになり、力を得たことで、その力を失わないように奔走する姿は見ていて面白かった。
罪について考えてみると、法律を凌駕した神の行いが信じられることで起こりうる社会の変化はすごくリアルに感じることが出来た。
自分の罪について告白するシーンは笑ってしまうようなものもあるが、ある意味それは誰かにとっての罪でもあるのかもしれないと考えさせられてしまった。
誰しもが罪悪感というのを持っており、その罪悪感が自分が実演をされる理由なのではないかと思い込んでしまう構造を新興宗教が作り上げてしまった。
昔の人が、理解できなかった自然現象を神の仕業と考えたように、自分たち人間はすべての現象に理由をつけたがってしまう傾向があるなと思った。しかし生きていると単なる偶然によって引き起こされたことなどたくさんある。
このドラマで何よりも怖いと思ってしまったのは実演をするゴリラのような怪物たちではなく、新しい正義のもとに暴力を働く矢じりの人々や、罪の意識の無いライブ配信者などといった生身の人間である。これはデビルマンにも通ずる部分があるなと思った。
しかし最後に私たちは圧倒的な「正しさ」を目撃することになる。それは両親の愛である。あのような自己犠牲が罪なわけがない。本当に法治国家は素晴らしいと思うと同時にもちろん問題もあるなと思わされる作品であった。