仄暗いフィンランドの底から#7「友達の日」

 今日はバレンタインズデー。「恋人の日」とでも言うべきか。日本にお住いの皆さんはチョコを貰ったり、渡したりしましたでしょうか?フィンランドではYstävänpäivä(友達の日)と呼ばれているため「好きなクラスメイトからチョコ貰えるかな?」とか「いつどうやって渡そう~」と緊張したりするような、青春的心配をする必要がないと思えてきますよね。しかし妻曰くフィンランドにはフィンランドなりの苦悩が存在するそうだ。

 思い返してみると私は本命チョコというものを貰ったことがない。男子校出身だし!と言い訳をしたいところだが、友人にはそれでも本命チョコを貰っていた人がいたので言い訳でしかない。社会人になると女性の先輩からもしかしたら義理チョコでももらえるのか??とか思い、お返しをどうしようかと心配していたが、「うちの会社はバレンタインズデーでチョコを配る習慣はないよ」と言われてなんかホッとした記憶がある。確かにバレンタインズデーの義理チョコは、女性からしても男性からしても仕事の邪魔でしかない。ジェンダフリーの観点からも色々と語れそうだが今回はよしておこう。

 では比較的ジェンダフリーのフィンランドにおいて「友達の日」に思春期たっぷりの若者は何をするのだろうか?お店では「I love you」とか書かれたカードが売られているのを見かけたので、友達同士でカードを送ったり、プレゼントを送ったりするのを私は想像した。それを妻に伝えてみるとそんな甘ったれたことはしねえ(意訳と即答された。もう少し考えてやっぱりチョコでも渡すのかな?と思ったが「そんな文字通り甘ったれたことはしねえ(超訳)」と言われてしまった。しばらくして妻が「あー思い出すでけでイライラする」と言いつつも昔話をしてくれた。

 妻がいた学校では毎年ハート型のカードを作り、そこにハグした人の名前を書いてもらい、一番多く名前が書かれていた人が賞品をゲットするというイベントが毎年開催されていたそうだ。なんて地獄みたいなイベントなのだろうか。。。日本のバレンタインズデーならチョコを貰えなくても、少し妬んだり、悲しむだけで済むが、このイベントは「ハグしない??」と言われたらハグしなくてはいけないではないか。もちろん拒否することはできるだろうが嫌な顔をされることだろう。友達じゃないと明言するようなものだからだ。そもそもフィンランドでは普段の挨拶で基本ハグはしない。私が初めてフィンランドに来て妻の家族と会った時にハグをしてみたが、なんか変な顔をされたのを覚えている。妻曰く、学校で誰かとハグをしたのもこの友達の日くらいとのことだ。妻はシャイであるため、このイベントが特段に嫌いだったそうだ。

 「じゃあもし私が同じ高校にいたとしてハグを申し出たらどうする?」と妻に聞いてみると「いいよ」とそっけない回答が返ってきた。もしかしたら私たちの熱量も「恋人」から「友人」寄りになってきているのかもしれない。

おわり

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