【映画ネタバレ分析】「イットフォローズ」における恐怖

今回は「イットフォローズ」の分析をします。

.タイトル

「イットフォローズ」

.点数

8/10

.マイ副題

死は愛が忘れさせてくれる。

.作品紹介

素敵な男性と思った彼と一夜を共にしたら、お化けに追いかけられるお話。

.監督

David Robert Mitchell
1974年生まれ。映画コマーシャル、予告編の編集に取り組む。
実家はメトロデトロイト地区Clawson, Michigan
28歳 2002「virgin」
36歳 2010「the myth of american sleepover」
40歳 2014「it follows」「under the silver lake」

私はまだアメリカンスリープオーバーを鑑賞していないのですが、こちらも評価は高いようです。
今回の作品の舞台は監督の出身地であるデトロイト。

.役者

主人公を演じるのはマイカ・モンロー。
それよりも注目したいのがキーア・ギルクリスト演じるポールである。
彼の醸し出す、童貞感、純粋さ、絶妙な嫉妬感が素晴らしい。

.予告編

.物語は青年少女で繰り広げられていく

・親の不在は青少年の親への不信感、思春期特有のギャップも表現。

・本作では3人の母親が登場。1人はジェイの母親。2人目はグレッグの母親。ITとしても登場。3人目はヒューの母親である。ITとしても登場。

・彼女ら母親に共通する点は、母性や寛容さ、温かさや愛が描かれていない。親子の関係の断絶を象徴。

・主要人物5人の中で一番大人びて見えるグレッグが、性行為の様な形で母親の姿をしたITに殺されることとなる。男性の幻想を充足させる唯一の存在である実の母親と大人びた息子が、性交渉をしているタブーを鑑賞者は目撃することとなり、恐怖と嫌悪感を得ることとなる。

.大人になることへの不安

・映画館においてヒューとジェイは「誰かになるなら誰を選ぶか」というゲームを行う。そこでヒューは小さな子供を選んでこう語る。

ヒュー「すべてがこれからっていいね。あの幸せそうな感じをみてごらん、完全なる自由だよ」

また、ジェイはグレッグと性交渉をもったあとにこのように語っている。

「大人になってデートに行ったり、車で友達と出かけたりする夢をよく思い描いていたんだ。イケてる男の子と手を繋いで、ラジオを聴いて、綺麗な道を走るの。たぶん北のほうね。紅葉の季節が始まったころに。本当はどこにいくのかが問題じゃなくて、きっと自由を感じたかったの。でも大人になってみてどこに行けばいいか分からないわ。」

これらの発言からも彼らが大人になることに対して不安を二人が抱えていることがわかる。

.現代の若者が抱える拒食症と自傷行為の暗示

・ジェイの部屋には退院後、食事が机の上に用意されているが、数日後でも手をつけられておらず、薬のみが飲まれていることがわかる。

・ヒューに会いにいった際にジェイは足に草を並べていた。これは足を切りつけているようにも見える。こういった不安から引き起こされる症状として、拒食や自傷行為も暗示する形で表現されている。

.父親殺し

・子供が大人になる過程では父親を乗り越え、心の中で格闘する必要がある。

・本作では父親の姿をしたITを殺すことで成長を描いている。

・ジェイによって彼女の父親について語られることはない。彼女の父親の写真は時折登場し、これは鑑賞者にITが父親の姿をしていることでを気がつかせる効果を持っている。

・ジェイの家にある写真から想像すると、父親は幼いころに他界か、家を出て行ってしまっている。心理的に父親を殺すことができずに成長してきた。

母親も子供にあまり関心がない。子供達は子供達自身でITに対処しなければ大人になることができず、大人になることを受け入れられないでいるとITに殺されてしまうという構造。

・ITに追われるのをやめ、倒すことを決めた瞬間、彼らは大人になること決意したのである。そのことが分かるようにヤラは決戦場へ向かう際にこのように発言している。

ヤラ「子供の頃親に8マイル通りを越えるなって言われてた。少し成長するまでそれがどうゆう意味かわからなかった。あそこが都市の始まりと郊外の終わりだってことを少しずつわかり始めたの。それがバカみたいだって思ってた。友達の両親と一緒にお祭りに出かけるのでさえ許可が必要だったんだもの」
ジェイ「うちの母親もおんなじだった」

・デトロイトの8マイルとは貧困層と富裕層、さらには白人と黒人を分けるラインのこと。

・親からこの線を超えてはいけないというルールを守っていた。親のルールを破り、父親的存在を倒すことを決意した彼らは、大人になることを決意したということが読み取れる。

・プールに現れるITはジェイの父親の姿をしている。ITが父性の象徴として描かれている。家電を娘に向かって投げる姿は家庭内暴力を暗示。

・ポールにとってITは欲望の対象であるジェイを奪う、圧倒的パワーを持った父親的存在となっている。義父との決闘に終止符を打った場所は二人がファーストキスをしたであろう、プールが舞台であった。

.白痴の持つ意味

・終盤、病院にてヤラがポールとジェイに『白痴』の一節を読み上げる。その一節はまさにこの映画の本質をついているだろう。人間は皆歳をとり、死は誰にでもいつか訪れるということを。

拷問は肉体に痛みと傷をもたらすが、肉体的苦痛であるため精神的苦痛は感じない。死の瞬間までは肉体の苦痛のみを味わうことになる。だが最悪の苦痛は肉体の傷ではなく、あと1時間、あと10分、あと30秒、まさに次の瞬間に魂が肉体を離れて自分が死ぬとはっきりと知ってしまうことだ。はっきりだということが最悪なのだ。

.学び

・毎日死を意識することは無いが、意識する時に恐怖で潰されないのは、それを忘れさせてくれる程、愛が効果を持っているからだろう。

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