今回は「オールド」のネタバレあり感想を述べていきます。
Contents
.作品紹介
時間が速く進むビーチにいく話
.学んだこと
一生って一瞬なこと
.ネタバレあり感想
人生100年時代。100年って凄く長く感じるけども、もしかしたら私たちは何か別のことが原因で早く死ぬかもしれない。でも死についてそんなに深く考える機会って少ないし、別の言葉に言い換えると、残された時間について考えることって殆どないと思う。だからこそ今という時間、瞬間を無駄にしてしまうことって多い。そんな感覚に問題提起しているのがこの映画なのではないかなと思った。
設定はいたってシンプルで、時間が非常に早く進むだけ。だからこそ、自分に残された時間を凄く実感しやすい。文字通り今日が最後の日なら何をする?ってことよ。
喧嘩をしていた夫婦は最初は逃げることを考えていたけども、だんだんとこの場所から逃げる、つまり死から逃げるのではなく、受け入れ、残された時間、だけど残された時間なんて正確に分からないから、今という瞬間、美しい瞬間を存分に味わっていた。
死を意識しながら二人で話すシーン、本当に泣ける。誰かを愛したくなるだろう。
死んでいった人たちの中で、唯一あの二人だけが幸せに死ねた気がする。それは彼らが死というものを受け入れたからなのではないかなと思う。
もしかしたらおばあちゃんも幸せに死ねたかもしれないね。彼女も死というものが近づいているのを受け入れていたのかもしれない。
老いることの不都合さも感じさせつつ、同時に美しさも感じる演出が凄く良くて、片耳が聞こえなくなるシーンの映画館の静けさは凄くて、あれは映画館でしか味わえない感じかもしれない。
鑑賞者がみんな静かにして、無音を感じていた。
そして旦那の目が見えなくなる描写、しっかりと見えないんだけども感じる家族の温かみを感じるようになっていると思った。
彼は確率だとか色々と細かいことを気にする人だったからこそ、こうやってぼんやりとしてしか世界が見えなくなることが幸せにつながったかもしれない。
設定については確かに代謝とかはどうなの?おしっことかうんこは?ってツッコミたくなるのは分かる。そこは目をつぶって、もしこうやって老化が進むような場所が発見されたら何をするって言ったら、確かに治験だなってなってしまう。
特に今はコロナワクチンが長期的に見てどうなの?って思っている人もいるから、実在したらこの場所で実験されそう…
もともといたビーチには魚が足元にいたのに、この秘密のビーチに行ったら魚がいないとか、生物が全然いないってのをちゃんと似たような構図で見せてるのも上手だし、子供だからこそ聞ける「あなたの職業は何?」が後々の伏線になっているのは流石だった。
あとは夫婦喧嘩のシーンもしっかりとこの映画のテーマにかかわっていた。
妻は旦那に対して「あなたはいつも未来のことばかり考えている」と言い、旦那は妻に「いつも過去ばかり見ている」と言う。大事なのは「今」なんだよね。
逃げようとする前に子供だった二人は砂の城を作る。長く滞在すればするほど老けてしまうのに。彼らは逃げようとするが、同時に死も受け入れている気がした。今、二人で一緒に城を作るという行為を楽しむことが、今後過ぎ去る時間、城を作ることで失う時間よりも大切だと思ったわけだ。
これこそ今を生きている行為と思えた。
子供がいる人は実感すると思うが、6歳児とかって過去とか未来とか考えずに全力で遊んだりする。
つまり彼らは「今」を生きているわけなんだよね。
私たちが成長するにつれて忘れていく考え。
私たちみんなが持っていたもの。
今こそその能力を取り戻す時かもしれない。
この先の見えない、何が起きるのか分からない世界だからこそ。