【ネタバレあり】『1917』感想 点数 10/10

今回は『1917』の感想を述べていきます。ついでにドキュメンタリー映画の『彼らは生きていた』についても触れています。

.予告

.作品紹介

伝令を伝えます

.監督

サム・メンデス監督

『アメリカン・ビューティー』『007スカイフォール』『007スペクター』など

.役者

ウィリアム・スコフィールド役 ジョージ・マッケイ

初めて見た役者でしたが圧巻の演技でした。

トム・ブレイク役 ディーン=チャールズ・チャップマン

GOTのトメン!!こんなに大きくなって。。。

.感想

正直ドロドロの戦争映画かと思っていたら、かなり重厚な人間ドラマ映画でした。

.生と死

 この映画のテーマは「生と死」と思いました。映画は草木、花が映るカットから始まります。一見するとそこに戦争があるとは思えない光景から始まるんですが、彼らの進む先が見えないようなアングルで彼らと一緒に道を進んでいくと、だんだんとスクリーンが戦争の風景になってくるんですよね。そして寝ていた主人公が段々と目を覚まして緊張感を持った表情になっていくことで自然と私も緊張してしまいました。(しかしアイリッシュアクセントは上手く聞き取れない!!

 塹壕の中で兵士たちは読書をしたり、寝たり、タバコを吸ったりと、やつれた表情を見せていました。最前線に行けば行くほど凄い光景になっていき、兵士たちは曜日を忘れてしまっている点がここには休みがなく毎日が代わり映えのない戦場生活だということを思い知らされました

 主人公達が塹壕を乗り越えるとそこはまさに地獄。死人や砲撃の穴、捨てられた戦車や死体を食うネズミなど見るに耐えない世界を進んでいきます。

 ドイツ軍の塹壕にたどり着く瞬間のドキドキ感も凄かったです。自分も一緒に戦場にいるような気がして息ができませんでした

 しかしこういった緊迫感のある中で、安心できる瞬間もあるんです。赤ん坊に会うシーンや、ラスト付近で戦闘前の宗教歌である「Wayfaring Stranger」を聞く場面。どちらも「家族」という文字が頭をよぎります。この家族という記号は鑑賞者に「安心」をもたらしてくれる仕組みを持っていると思いました。私は緊張と安堵の緩急のせいもあってこのシーン二つで泣いてしまいました

.命は繋がっている

 戦場には馬の死体が転がり、ウジやハエ、ネズミが生息しています。ドキュメンタリーによるとあのネズミはしょっちゅう殺していたそうで、ネズミの死体の山が出来上がっていたんだとか。こういった死でさえも新たな命に繋がっているわけですが、私が一番グッとそう思わされたのは途中で出会う赤ん坊にミルクを与えたシーンです。ここでもう涙がブワーーーーっと漏れ出してしまいました。というのもミルクを手に入れた場所はブレイクが死んだ場所でもありますし、さらにミルクがここまでたどり着くためには、スコフィールドも死を乗り越えなければいけなかったからです。またこのシーンを鑑賞後に振り返ると、彼が赤ん坊に優しかったのは彼自身も子供がいたからなんだと気がつかされました。あとはドイツの塹壕にある寝室で家族写真に数秒目を奪われていたシーンも後々ハッとさせられました。スコフィールドが大事にしまう缶の中身が何なのかを最後まで見せない演出は非常に良かったです。

.スコフィールドの変化

 鑑賞終了後に改めて振り返ってみると、彼がなぜあんなに夜中に出発したがっていたのか納得しました。彼は家族持ちなので生きて家族の元に帰りたいはずです。なのでできる限り危険の少ない夜中に出発したいのも納得です。しかしブレイクは兄(ロブ・スターク)の命が掛かっているのですぐに出発したいので。(つまりラニスター家のトメンが敵のロブ・スタークを救う話なのだ!!←違う!!)面白いのがこの時、先を歩くのがブレイクからいつの間にかスコフィールドに代わり、塹壕から出る際もスコフィールドが先に行くんですよね。覚悟を決めたことを表しているんですかね?彼はまだこの時は「任務のため」「1600人の命のため」に行動していたと思います。

 その後ドイツ兵の塹壕で死にかけた後、ブレイクに「帰るか?」と聞かれるシーンがありました。ここで一瞬答えに詰まりますが、任務を続行することにしました。ここで彼はブレイクへの恩を、「彼の兄を救う任務に協力する」ことで返そうとしたのだと思います。

 しかしブレイクが殺されたことで、彼の目的は「兄を救い、彼の母に手紙を書くため」「ブレイクのため」に変わったと思います。だから彼は最後のシーンで危険を冒してまでも塹壕の外に出て走ったのだと思います。夜中に塹壕を出ようと言っていた男が、真昼間の最前線で危険を冒して塹壕を出るというのはとてつもなく大きな変化だったと思います。

.現実との違い

 この映画は実際の話ではないですが、現実と似通っている点や史実と同じことがいくつもあるようです。一つは実際にドイツ軍が戦略的撤退をしたことです。そしてスコフィールドが死にかけた塹壕のように、ドイツ軍はベッドがあるような良い塹壕を所持しており、撤退時には罠を残していったそうです。トラックで出会うインド人兵士のように、第一次世界大戦ではインド人やアフリカからの戦士が戦線に参加していました。そして今作の舞台となる1917年4月6日はアメリカが参戦を表明した日とのことです。(参照:https://youtu.be/jSYnirvF2p4

 そして町山さんもオススメしていた、『They shall not grow old』邦題で『彼らは生きていた』をオンラインレンタルして鑑賞しました。

 こちらはドキュメンタリーで、無音白黒映像を綺麗なカラーにし、音をつけています。そのレベルが高すぎてこれらの映像を見るだけでお金を払う価値があると思いました。

 恐ろしいと思ったのは、社会全体が「男は戦場に行くべき」という考えを持っていた点です。映像に元兵士のインタビュー音声が加えられており、彼らの肉声で「何もしていないのはいけないと思った」「16歳でも嘘をついて志願した」と多くの人が19歳~35歳という制限を無視して志願し、リクルーターも黙認して戦場に送り込んでいた事実を知れます。

 ある青年が街を歩いていると女性が「なぜ軍にいないの?」と話しかけてきたそうです。まだ17歳で兵士になることができないため、彼は軍にまだ属していなかったわけですが、社会全体の考え的に男性は戦場に行っていないとおかしいという考えがあることがこの会話から想像できました。

 映画では、塹壕を出た後のドロドロとした地面で、足元にクローズアップされることが多く、衛生環境の悪さが描写されていました。実際に戦場の衛生環境は酷く、毛じらみ、水が溜まると足が病気でダメになったそうです。また塹壕がジグザグなのは、敵に侵入された時に、銃の射線に入らないようにするためだそうです。映画でも描かれていたようにドイツの塹壕は質が良く、さらに立地的にも上にあったので、水に深くつかるようなことも無かったそうです。

 カメラが珍しいのか、多くの兵士がカメラ目線でこちらを見つめてきます。目が合ったこの人たちが果たして生き残ることができたのでしょうか?

 暗い内容の映像ばかりかと思っていたら希望を感じる映像をありました。イギリス兵とドイツ兵が帽子を交換しあって笑いあったり、一緒に仲良く写真を取っているんです。インタビューでも彼らは良いやつらだったとまで言っていました。。。

 戦争で苦しむのはいつの時代も市民ですね。

Amazon Prime Videoで配信されています。レンタル&購入はこちらから。

.学んだこと

塹壕について

平和が一番

アイリッシュアクセント難しい

.最後のお別れはこの曲で

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