『希望のかなた』 点数 8/10

今回は『希望のかなた』の感想を述べていきます。中盤以降ネタバレありです。

.予告

.作品紹介

フィンランドに来たシリア難民の話

.監督

アキ・カウリスマキ

.役者

ヴィッレ・ヴィルタネン

カティ・オウティネン

.ネタバレなし感想

 アキ・カウリスマキの名前は聞いたことがあったのですが、どの作品も見たことがなく、この作品が初めてでした。フィンランドのシリア難民の話なので、移民として共感できる部分がありました。差別は忌まわしいことで、救いの手を差し伸べることの大事さについても考えさせられました。

 最新技術が画面になかなか映らなかったのも面白かったです。現代人なら誰もが持っているスマートフォンも画面に現れない。劇中で使われている通信機器はどれも古いものばかりでした。これには監督の意図を感じましたが、他の作品を見ていないため作品全体に通じることなのかどうか不明でした。タバコを吸うシーンもとても多いです。フィンランドは現在、室内での喫煙についてはとても厳しく、寒い日でもみな外へ出てタバコをプカプカと吸っています。そのためこの映画の光景は別の国のようにも見えました。テーマは重く感じますが、しっかりと笑えるシーンが多いのも良かったです。

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以下ネタバレありです!

.ネタバレあり感想

 主人公のカーリドはシリア難民で、ハンガリーとセルビアの国境で妹と生き別れてしまいます。

 私の身近には難民の知り合いが2人いますが、彼らはあまり過去のことを語りません。きっと私が想像もできないことを経験してきていると思います。だからこのカーリドが移民局で話すシーンは非常に衝撃的でした。劇中には通訳がいる設定でしたが、最初の数分間は通訳を挟まずに彼の言葉によって惨劇を語らせているのは、非常にメッセージ性のある良い作りだと思いました。カーリドが我々観客を見つめて、シリアで起きている戦争のことを語ってくるので、中東について思いを馳せてしまいます。このシーンは監督が最も見せたいシーンなのではないかと思いました。

 主人公の言う「この国には戦争がない」は心に刺さりました。難民は生きるために国を離れ、一方でフィンランド人は余生を楽しむために海外へ行く。序盤に登場した女性はメキシコシティーに行くと言っていたのを思い出します。この対比はきっと意識したシーンだったと思います。

 フィンランドでもいまだ難民は議論されており、映画に登場したように実際に「オーディンの戦士」という自警団が存在します。「真のフィンランド人党」という政党が現在のアンケート調査では一番票を集めています。この政党はフィンランド人である老人や若者への投資を優先し、移民へのサポートを減らすことを考えています。難民や移民への教育コストの割に納税者が少ないことや、フィンランドの老人と子供にお金が使われてないのに、移民は福祉にあやかって快適に暮らしているので母国に返すのが最重要で、唯一のコストカットに繋がると彼らは考えています。

 受け入れ態勢がしっかりしていないと、社会に溶け込み、生活基盤を作ることはとても難しいことだと思います。いつまでも社会保障の世話になり続ける生活は辛いことだと私は思います。仕事は人生に意味をもたらすものでありますし、社会に対して何も出来ないという状況は人間的に辛いことです。しかも社会に溶け込めないとなると居心地も悪くなり、結局出身国同士で派閥を組み、現地社会に溶け込めず、労働市場で稼ぐことができなくなればギャングが形成されてしまうでしょう。だから社会に溶け込める受け入れ体制というのは非常に大事なことだと思います。しかし、戦争で困っている人も助けないというのもまた違うでしょう。本当に難しい問題だからこそ正解もない気がします。小さい世界で考えて、隣人が困っているとしても、できることにも限度があります。私自身の世話もしなければいけない。私自身に問題がたくさんあれば他者を助ける余裕も出てこないでしょう。

 こういったことを考えさせられるだけでも十分この映画は役目を果たしていると思います。難民への問題提起。みなさんも一度難民という問題について考えてもらいたいです。

.学んだこと

救いの手を差し伸べることの大切さ

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